夫の死から8日で記者に──朝ドラ『あんぱん』ヒロインの実在モデルがすごい

NHKの朝ドラ『あんぱん』が話題を集める中、主演・今田美桜さんが演じるヒロイン「のぶ」のモデルが誰なのか気になる方も多いのではないでしょうか。

実は、のぶのキャラクターには実在の人物・小松暢さんの人生が色濃く反映されています。戦後の混乱期に、夫の死からわずか8日で新聞記者を志し、活躍した彼女の姿は、視聴者に深い感動を与えています。

この記事では、ドラマ『あんぱん』の中でも特に注目されている記者になるまでの流れや家族の反応、そして小松暢さんの実話エピソードをもとに、検索者の疑問に丁寧にお答えします。

朝ドラ『あんぱん』の「のぶ」のモデルは小松暢さん！その実話とは？

朝ドラ『あんぱん』のヒロイン・のぶは、戦後の日本で女性記者として新しい人生を歩んだ女性です。

そのモデルとなったのが、小松暢（こまつ のぶ）さんという実在の人物であり、彼女の半生はドラマの重要な要素となっています。

夫の死という悲劇の直後に、自らの人生を切り拓く道を選んだ彼女の生き方は、多くの視聴者に勇気を与えています。

27歳で夫を亡くし、8日後に新聞記者を志すという決断

小松暢さんは、大正7年（1918年）に大阪市で生まれました。

若くして結婚し、夫・小松総一郎さんと共に暮らしていましたが、昭和21年（1946年）1月、戦後の混乱期にわずか33歳で夫が亡くなってしまいます。

深い悲しみに包まれる中、暢さんはたった8日後に新聞記者を志すという大胆な決断を下しました。

普通であれば立ち直るのにも時間がかかる状況で、彼女は「自分の力で生きる」という選択をし、行動に移します。

高知新聞社の採用試験に合格、戦後初の女性記者に

暢さんは夫が生前に贈ってくれたライカのカメラと、すでに習得していた速記の技術を活かして、高知新聞社の採用試験に挑みます。

応募者は31人いた中で、合格者はわずか2名。暢さんはその1人に選ばれ、戦後の高知新聞社で初の女性記者として入社します。

これは当時としては非常に珍しいことであり、まさに先駆者的な存在だったと言えます。

彼女のように強く前向きに人生を歩む姿が、ドラマ『あんぱん』のヒロイン像と見事に重なっているのです。

小松暢さんの人物像とは？生い立ちから学歴まで

のぶのモデルである小松暢さんは、どのような人生を歩んできたのでしょうか。

その人物像を紐解くと、裕福な家庭で育ち、文化と教養を兼ね備えた“お嬢様”としての一面が浮かび上がります。

音楽や運動の才能にも恵まれ、若くして多彩な魅力を持っていた女性だったことが分かります。

裕福な家庭で育ち「お嬢様」と呼ばれた少女時代

暢さんは大阪市天王寺区で誕生し、父は鈴木商店で要職を務めるエリートビジネスマンでした。

一家はモダンで裕福な暮らしをしており、暢さん自身も毛皮のコートを着こなすなど、当時としては先進的なライフスタイルを送っていたようです。

また、バイオリンやピアノの稽古にも取り組んでおり、文化的素養を自然と身につけていきました。

短距離走選手としての活躍と、音楽の才能

学業だけでなく、運動面でも目覚ましい活躍を見せていた暢さん。

大阪府立阿部野高等女学校に在学中には短距離走の選手として注目を集め、「韋駄天おのぶ」と呼ばれるほどの実力でした。

音楽と運動のどちらにも秀でた彼女は、まさに才色兼備の存在だったと言えるでしょう。

その明るく快活な性格は、のちに記者としての道を歩む上で大きな力となったはずです。

夫・小松総一郎さんとの結婚と別れ、そして記者の道へ

小松暢さんの人生において、夫・小松総一郎さんとの出会いと別れは、のちの大きな転機となります。

戦時下という過酷な時代背景の中で、愛し合う夫婦として過ごしたわずか7年の結婚生活。

その後、夫の死をきっかけに暢さんは記者としての道を切り拓くことになります。

船員の夫と過ごした短い結婚生活

暢さんが最初の夫・小松総一郎さんと結婚したのは、昭和14年（1939年）、彼女が20歳の時でした。

総一郎さんは神戸高等商船学校を卒業した船員で、日本郵船に勤めるエリートでした。

仕事の都合で東京や大阪に居を移しながらの結婚生活でしたが、総一郎さんが船に乗っていることが多く、実際に共に過ごす時間は限られていたようです。

夫の死と向き合い、記者として生きる道を選択

戦況が激化する中、総一郎さんは一等機関士として徴用され、大型貨物船「松本丸」で原油輸送任務に従事していました。

しかし昭和18年（1943年）、病に倒れ、故郷・高知で療養生活を送ることに。

そして終戦後間もない昭和21年（1946年）1月に33歳で逝去。暢さんは27歳の若さで最愛の夫を失いました。

悲しみに暮れる中、彼女は夫の死からわずか8日後に記者職への挑戦を決意します。

持ち前の速記スキルと、夫が遺してくれたライカのカメラを武器に、高知新聞社の採用試験に挑み、見事合格。

こうして彼女は戦後初の女性記者として、激動の時代に新たな一歩を踏み出したのです。

ドラマ『あんぱん』65話の注目ポイント：家族のリアクションが話題に

朝ドラ『あんぱん』第65話では、のぶが新聞記者として採用されたことを家族に報告するシーンが描かれました。

これまでのストーリーとは少し趣が異なる、温かくユーモラスな家族の反応が話題を呼び、SNSでも多くのコメントが寄せられました。

中でも、妹・蘭子の“あの一言”が「完全にフラグ」として注目を集めています。

のぶの就職報告に驚く家族たちのリアルな反応

のぶ（今田美桜）が高知新報に採用されたことを報告すると、母・羽多子（江口のりこ）や祖父・釜次（吉田鋼太郎）は文字通り目を丸くして驚きます。

「新聞に載るがじゃのうて、新聞の記事書くがか！？」という祖父のセリフには、視聴者も思わず笑ってしまったことでしょう。

家族が驚きながらも祝福する姿には、戦後の混乱の中で“仕事を得る”ことの尊さがしっかり描かれていました。

「いらんことしそう」なヒロインに視聴者も共感の声

そんな中、唯一リアクションを見せていなかった妹・蘭子（河合優実）がようやく口を開きます。

「お姉ちゃんが、記者…。大丈夫やろか」とつぶやいた彼女の一言に、場の空気が一変。

すかさずメイコが「確かに、なんか、いらんことしそうやね」と同調すると、母・羽多子までが真顔になり「大丈夫？」と確認。

このやりとりに対して、ネット上では「いらんことしそうフラグ立ったｗ」「これが朝ドラの王道展開！」と多くの視聴者が共感と笑いを寄せています。

のぶの真っ直ぐすぎる性格と、周囲の心配がユーモラスに描かれるこのシーン。

ドラマの今後の波乱を予感させる名場面として、多くの人の印象に残ったことでしょう。

朝ドラ『あんぱん』とモデル小松暢さんの共通点と違い

朝ドラ『あんぱん』では、実在の人物・小松暢さんをモデルにしながらも、フィクションならではの演出が加えられています。

実話とドラマの違いを見比べることで、制作者が伝えたかったテーマやメッセージがより深く理解できるでしょう。

ここでは、小松暢さんの実際の人生と、ドラマ『あんぱん』の描写の共通点と相違点を比較していきます。

史実を踏まえた上でのフィクション要素

ドラマのヒロイン・のぶは、小松暢さんの実際のエピソードに多くを基づいて構成されています。

例えば、夫の死から8日後に記者を志したという驚くべき事実や、速記と写真のスキルを生かして高知新聞に合格した点などは、史実そのものです。

しかし一方で、登場人物のキャラクター造形や家庭内でのやりとり、新聞社での描写にはフィクションならではの味付けがされています。

のぶの妹たちや祖父母の言動など、家族のユーモア溢れる反応は、視聴者に感情移入してもらうための工夫といえるでしょう。

“のぶ”の成長ストーリーに込められた現代へのメッセージ

ドラマ『あんぱん』では、ただ史実をなぞるのではなく、「今を生きる視聴者」に向けたメッセージも込められています。

時代の制約を受けながらも、自分の意志で人生を切り開く姿は、現代女性の自立や挑戦にも通じるものがあります。

また、戦後の混乱という厳しい状況下で“記者”という職業を選んだのぶの姿からは、「言葉の力」「伝える責任」といったテーマも感じ取れます。

その意味で、ドラマは小松暢さんの人生をベースにしながらも、今を生きる私たちに問いかける作品に仕上がっているのです。

朝ドラ『あんぱん』と小松暢の感動実話を通して伝えたいこと【まとめ】

朝ドラ『あんぱん』は、ただのフィクションドラマではなく、実在の女性・小松暢さんの人生を丁寧に描いた作品です。

彼女の生き様は、困難な時代を生き抜く人々への強いメッセージとなって視聴者に届いています。

その核心には、誰もが自分の人生を切り拓いていけるという希望と勇気が込められています。

小松暢さんは、戦争によって愛する人を失いながらも、自らのスキルと信念を武器に新たな道へと進みました。

彼女が踏み出した一歩は、女性の社会進出がまだ珍しかった時代において、ひとつのロールモデルとなりました。

そして、その物語は今の時代にこそ響くものです。

また、のぶを取り巻く家族の温かさや、ときに辛辣ながらも真っ直ぐな言葉の数々は、視聴者にとっても共感できる人間ドラマの要素です。

「失っても、終わりじゃない」。

そのメッセージは、どの時代にも通じる普遍的なテーマとして、多くの人の心に深く刻まれているのではないでしょうか。

朝ドラ『あんぱん』がこれほど多くの支持を集めている理由は、まさにそこにあるのです。