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副業開始の手続き完全ガイド|確定申告・個人事業主・業務委託まで

会社員が業務委託副業の契約書と2026年の開業届や確定申告スケジュールを確認している様子 未分類

2026年に会社員が業務委託副業を始めるなら、開業届より先に就業規則と契約を確認し、売上と経費を初日から記録するのが結論です。

2026年1月1日以後に開業した人の開業届は、開業した年分の所得税の確定申告期限まで。ただし、青色申告には別の短い期限があるため、開業届だけを見て手続きを後回しにしないことが大切です。e-Tax+2国税庁+2

この記事では、Webライティング、デザイン、動画編集、プログラミング、コンサルティングなど、会社員が個人で業務を受けるケースに絞って解説します。

税金の話は言葉が固くなりがちですが、最初から全部覚える必要はありません。まずは「会社」「取引先」「税務署」の3方向に分けると、何をすべきかが見えやすくなります。

2026年の業務委託副業はいつ何を手続きする?

最初に確認する順番は、就業規則、契約条件、記帳、開業届・青色申告、確定申告です。

2026年中に副業を始める会社員の基本スケジュールを、先にまとめます。

時期 やること 期限・判断の目安
案件へ応募・受注する前 就業規則、副業届、競業・秘密保持を確認 勤務先の期限に従う
契約・発注時 業務内容、報酬、納期、修正範囲、支払日を書面で確認 作業開始前
副業開始日から 売上、経費、請求、入金、源泉徴収額を記録 取引のたびに行う
青色申告を希望する場合 青色申告承認申請書を提出 原則3月15日。1月16日以後の開業は開業日から2か月以内
開業届 個人事業の開業・廃業等届出書を提出 2026年開業は原則2027年3月15日まで
2026年分の確定申告 申告が必要かを判定して提出 原則2027年3月15日まで
所得税の申告をしない場合 住民税申告の要否を確認 居住する自治体へ確認

2026年7月10日に事業を始めた人を例にすると、青色申告承認申請書の期限は原則として2026年9月10日です。

一方、開業届は、2026年分の所得税の確定申告期限である原則2027年3月15日までとなります。開業届より青色申告の期限が先に来るのが、初心者が見落としやすいポイントです。国税庁+2国税庁+2

開業届の期限は2026年からどう変わった?

改正前の案内では、個人事業の開業届は、事業開始の事実があった日から1か月以内とされていました。

国税庁の過去の案内にも「1月以内」と明記されていますが、2026年1月1日以後の開業については、開業した年分の確定申告書の提出期限までに変更されています。国税庁+1

開業した日 開業届の基本的な提出期限
2025年12月31日以前 事業開始等の事実があった日から1か月以内という旧ルール
2026年1月1日以後 開業した年分の所得税の確定申告期限まで

検索結果には、改正前の「開業から1か月以内」という記事や資料も残っています。

2026年の副業手続きを調べるときは、記事の公開日だけでなく、何年の開業に適用される説明なのかまで確認してください。

ただし、期限が延びたからといって、開業届も記帳も確定申告前まで放置してよいわけではありません。

私がこの改正で重要だと感じるのは、開業届の提出を急がなくてよくなったことより、青色申告と日々の記録は今までどおり早く動かなければならない点です。

開業届は「あとで出せる書類」になりましたが、領収書や契約条件は、あとから完全に再現できるとは限りません。締切が遠くなったことで、むしろ管理を忘れやすくなったとも考えられます。


業務委託副業を始める前に会社と取引先へ何を確認する?

会社員は、開業届を作る前に、勤務先の就業規則と取引先の契約条件を確認します。

税務署への書類が整っていても、勤務先で必要な副業届を出していなかったり、競業に当たる仕事を受けたりすれば、別の問題が生じるためです。

勤務先の就業規則では何を見る?

厚生労働省は、副業・兼業に関するガイドラインやモデル就業規則を公開しています。

モデル就業規則では副業・兼業の規定が設けられていますが、実際の許可制・届出制、禁止事項、申請期限は会社ごとに異なります。健康労働省

社内ポータルや就業規則では、次の項目を探しましょう。

  • 副業は許可制か、届出制か
  • 申請は案件ごとか、年1回か
  • 取引先名や報酬見込みの記載が必要か
  • 同業他社からの仕事が制限されているか
  • 本業の情報、設備、パソコンを使ってよいか
  • 副業できる時間帯や曜日に制限があるか
  • 本業への支障や健康管理について規定があるか

副業届に決まった書式がない場合は、少なくとも次の情報を整理すると説明しやすくなります。

副業届の記載例

  • 副業の内容:企業から受託するWeb記事の構成・執筆
  • 契約形態:雇用契約ではなく業務委託契約
  • 作業時間:本業の終業後および休日
  • 使用する設備:個人所有のパソコンと通信回線
  • 情報管理:本業で知った非公開情報は使用しない
  • 競業の確認:勤務先の商品・顧客と競合しない範囲で受注
  • 本業への影響:勤務時間中は作業せず、所定業務を優先する

これは共通の公式様式ではありません。

勤務先に指定書式がある場合は、その項目に従ってください。会社名や取引先名をどこまで書くか分からないときは、自分で省略を決めず、人事や上司へ確認する方が確実です。

業務委託契約では報酬以外に何を見る?

案件を受けるときは、報酬額だけでなく、その報酬に何の作業が含まれるかを確認します。

例えば「記事1本3万円」でも、本文を書くのみの案件と、企画、取材、画像作成、入稿、公開後の修正まで含む案件では、必要な時間が大きく変わります。

最低限、次の条件はメール、チャット、契約書、発注書のいずれかに残しましょう。

  • 納品する成果物とファイル形式
  • 作業の範囲
  • 納期
  • 報酬額と消費税の扱い
  • 支払期日
  • 検収の期限と方法
  • 無料で対応する修正回数
  • 追加作業が発生した場合の料金
  • 著作権や二次利用の範囲
  • 秘密保持の対象
  • 途中解約の条件
  • 振込手数料の負担者

条件が曖昧なときは、難しい言葉を使う必要はありません。

「この金額に含まれる作業と、無料修正の回数を確認させてください」と聞くだけでも、納品後のすれ違いを減らせます。

会社員の副業にもフリーランス法は関係する?

会社員であっても、別の事業者から個人として業務委託を受ける範囲では、フリーランス法上の「特定受託事業者」に該当する可能性があります。

公正取引委員会のQ&Aでも、雇用されている労働者が、副業として他社から業務委託を受けるケースは対象になり得ると示されています。日本貿易振興機構

フリーランス法は2024年11月1日に施行され、発注者には、給付の内容、報酬額、支払期日などの取引条件を、書面または電子的方法で明示する義務が設けられました。発注者の条件によっては、給付を受領した日などから原則60日以内に報酬の支払期日を設定するルールも適用されます。日本貿易振興機構+1

ただし、法律があるから契約書を読まなくてよいわけではありません。

修正回数や連絡できる時間、著作権の利用範囲など、案件ごとの細かな条件までは自動で決まりません。

また、契約書に「業務委託」と書かれていても、実際には勤務時間や仕事の進め方を細かく指示され、発注者の指揮命令下で働いている場合があります。

労働者に当たるかどうかは、契約の名称だけでなく働き方の実態で判断されます。日本貿易振興機構

※画像はAIによるイメージ

開業届と青色申告は会社員の副業でも必要?

継続的に個人事業として業務を行う場合は開業届を確認し、青色申告を利用したい場合は別途、青色申告承認申請書を提出します。

ここで注意したいのは、開業届と青色申告は同じ手続きではないことです。

2026年の開業届には何を書く?

個人事業の開業・廃業等届出書には、主に次の内容を記載します。

  • 納税地
  • 氏名
  • 生年月日
  • マイナンバー
  • 職業
  • 屋号
  • 開業日
  • 事業の概要
  • 所得の種類
  • 従業員へ給与を支払う予定の有無

屋号は必須ではありません。

Webライターなら「Webコンテンツの記事構成、執筆、編集」、動画編集なら「企業等から受託する動画の編集、字幕作成」など、第三者が読んで業務内容を想像できる程度に書けば整理しやすくなります。

開業日は、契約日、最初に営業した日、実際に業務を開始した日など、事業を始めたと説明できる日を実態に合わせて記載します。

「青色申告の期限に間に合うよう、実際とは違う開業日を書く」といった決め方は避けてください。

開業届は、e-Taxソフトで作成・提出する方法のほか、税務署への持参や郵送による提出が案内されています。2025年1月以後、税務署では提出書類の控えに収受日付印を押さない運用となっているため、e-Taxの受信通知や郵送記録など、提出を確認できる情報を自分で保存しておくことも大切です。国税庁+1

青色申告の期限は開業届より短い

青色申告を希望する場合は、所得税の青色申告承認申請書を提出します。

原則は、その年の3月15日までです。その年の1月16日以後に事業を始めた場合は、開業日から2か月以内となります。期限が土日祝日等に当たる場合は翌日です。国税庁

青色申告では、記帳方法や申告方法などの要件により、最高65万円、55万円または10万円の青色申告特別控除を利用できる場合があります。

ただし、青色申告を利用できるのは、事業所得、不動産所得、山林所得のある人です。業務委託副業による所得が雑所得に当たる場合、青色申告特別控除は使えません。国税庁

「控除が大きいから青色申告を選ぶ」という順番ではありません。

まず副業の活動実態から所得区分を判断し、事業所得に当たる場合に青色申告を検討します。

開業届を出せば事業所得になる?

開業届を出しただけで、副業による所得が自動的に事業所得になるわけではありません。

事業所得か業務に係る雑所得かは、活動が社会通念上、事業と呼べる程度で行われているかを、規模、継続性、営利性、帳簿の保存などの実態から判断します。

国税庁は、副業に係る原稿料などが雑所得に該当する例を示す一方、業務に係る雑所得についても、総収入金額から必要経費を引いて所得を計算すると案内しています。国税庁

初心者が確認したいのは、次のような点です。

  • 継続して受注する意思と実態があるか
  • 利益を得る目的で活動しているか
  • 自分の責任と判断で仕事を進めているか
  • 業務に相応の時間や労力を使っているか
  • 複数回または継続的な取引があるか
  • 帳簿を作成しているか
  • 契約書、請求書、領収書を保存しているか
  • 売上を得るための営業や設備投資を行っているか

私は、所得区分を考えるときに「売上がいくらになったか」だけを見るのは危ないと考えています。

同じ年間売上でも、単発で偶然受けた仕事と、毎月営業し、契約、請求、記帳を続けている仕事では活動の実態が違うからです。

迷うときは、開業届を出した事実だけで判断せず、契約や帳簿を持って税務署や税理士へ相談してください。

副業が赤字なら本業の給与から引ける?

副業の赤字を本業の給与所得から差し引けるかどうかは、所得区分によって異なります。

事業所得の損失は、一定の範囲で損益通算の対象になります。一方、雑所得の損失は、給与所得など他の所得から控除できません。国税庁

例えば、副業の収入が10万円、経費が20万円だったとしても、その副業が雑所得なら、10万円の赤字を給与所得から差し引くことはできません。

だからといって、給与との損益通算を目的に、活動実態に合わない事業所得として申告することは避けるべきです。

副業を始めた年は、パソコンや学習費などで支出が多くなりやすい時期です。

しかし、「支出が多い」と「税務上の事業として赤字を計上できる」は同じ意味ではありません。ここを分けて考えることが、誤解を防ぐポイントです。


業務委託副業の確定申告はいくらから必要?

年末調整を受けている一定の会社員は、給与所得と退職所得以外の所得金額の合計が年間20万円を超えると、原則として所得税の確定申告が必要です。

業務委託副業では、売上ではなく、売上から必要経費を引いた所得で20万円を判定します。国税庁+1

副業所得=副業の総収入金額-必要経費

例えば、2026年の売上が32万円、必要経費が14万円なら、副業所得は18万円です。

この20万円基準だけで見れば所得税の確定申告を省略できる可能性があります。

反対に、売上が23万円、必要経費が2万円なら、所得は21万円です。売上額は小さく見えても、原則として確定申告の対象になり得ます。

20万円以下なら何も申告しなくてよい?

20万円以下なら、すべての手続きが不要になるわけではありません。

医療費控除や寄附金控除、住宅ローン控除の初年度など、別の理由で所得税の確定申告をする場合は、20万円以下の副業所得も含めて申告します。

また、所得税の確定申告を省略できる場合でも、住民税申告が必要になることがあります。

住民税の申告対象や不要となる条件は自治体や本人の所得状況で異なるため、居住する市区町村の案内を確認してください。さいたま市も、副業所得が20万円以下の場合の住民税申告について案内しています。さいたま市公式ホームページ

「20万円以下なら副業の記録を消してよい」という制度でもありません。

確定申告が不要だった年も、翌年以降の所得区分や取引履歴を説明できるよう、請求書や入金記録は残しておく方が実務的です。

副業の必要経費には何を入れられる?

必要経費になるのは、収入を得るために直接必要だった費用や、その年に生じた業務上の費用です。

生活のための支出を、すべて副業の経費にできるわけではありません。国税庁

業務内容によっては、次のような支出を検討できます。

  • クラウドソーシングサービスなどの手数料
  • 業務に使う有料ソフトやオンラインツール
  • 取材や打ち合わせのための交通費
  • 業務に必要な書籍や資料
  • 名刺やポートフォリオの制作費
  • レンタルオフィスや作業スペースの利用料
  • 業務専用のドメインやサーバー費用
  • パソコン、カメラ、周辺機器などの購入費
  • 業務で使用した通信費や電気代の一部

パソコンなどの高額な物品は、購入額や利用状況により、購入した年に全額を経費にせず、複数年に分けて減価償却する場合があります。

また、スマートフォン、インターネット、自宅の電気代など、生活と副業の両方に使う費用は、業務に使った部分を合理的に分けます。

例えば、通信費の30%を経費にするなら、「何となく3割」ではなく、使用日数、通信時間、回線の用途など、自分で説明できる基準を残しておきましょう。

個人的には、経費を増やすことより、経費と判断した理由を後から説明できる状態にすることの方が重要だと考えています。

税金を減らすために買い物を増やせば、手元のお金はその分減ります。副業に本当に必要かを先に考え、その後に税務上の扱いを確認する順番が自然です。

源泉徴収された報酬はどう記録する?

原稿料、デザイン料、講演料など、一定の報酬は、支払時に所得税と復興特別所得税が源泉徴収される場合があります。

原稿料などは、1回の支払金額が100万円以下の場合、原則として源泉徴収対象額の10.21%です。100万円を超える部分には20.42%が用いられます。国税庁

例えば、報酬10万円から10,210円が源泉徴収され、89,790円が振り込まれた場合でも、売上を89,790円だけで記録するのは適切ではありません。

基本的には、次のように分けて管理します。

  • 売上:100,000円
  • 源泉徴収された税額:10,210円
  • 実際の入金額:89,790円

源泉徴収税額は、発注者に支払った手数料ではなく、所得税等の一部を先に納付してもらった金額です。

確定申告では、年間の所得から計算した税額と、すでに源泉徴収された金額を精算します。

なお、請求書で報酬額と消費税額を明確に区分している場合は、消費税を除いた報酬額のみを源泉徴収の対象として差し支えない扱いがあります。

消費税額を分けていない場合は、原則として消費税等を含む金額が対象です。国税庁+1

請求額と入金額が合わないときは、源泉徴収のほか、振込手数料、消費税の計算、サービス利用料も確認しましょう。

※画像はAIによるイメージ

帳簿と書類はどう保存する?

最初から複雑な会計帳簿を作ろうとして止まるより、まず1件の取引を最後まで追える管理表を作りましょう。

最低限、次の項目を記録します。

  • 取引先
  • 業務内容
  • 契約日
  • 納品日
  • 請求日
  • 入金予定日
  • 入金日
  • 売上額
  • 消費税額
  • 源泉徴収額
  • 経費額
  • 証拠書類の保存場所

青色申告では、帳簿や決算関係書類は原則7年、請求書や契約書などのその他の書類は原則5年など、書類の種類により保存期間が異なります。

白色申告でも、事業所得等がある人には記帳と帳簿書類の保存が求められます。国税庁

メールで届いた請求書、オンラインサービスからダウンロードした領収書など、電子取引で受け取った書類は、一定の要件に従い電子データのまま保存します。国税庁

私が初心者におすすめしたいのは、「領収書」というフォルダだけを作る方法ではなく、年月と取引先が分かる名前を付ける方法です。

例えば「2026-07_○○社_執筆料請求書」「2026-07_文章校正ツール利用料」のようにしておくと、確定申告で宝探しをせずに済みます。

インボイス登録は業務委託なら必要?

業務委託副業を始めた人が、全員インボイス発行事業者へ登録しなければならないわけではありません。

登録を受けた課税事業者は、基準期間の課税売上高にかかわらず、登録中は消費税の納税義務が免除されません。国税庁

取引先から登録番号を聞かれても、その場で登録すると答える必要はありません。

次の点を確認して判断しましょう。

  • 未登録の場合、契約や報酬条件が変わるのか
  • 取引先は法人中心か、個人中心か
  • 今後の売上見込みはいくらか
  • 消費税の記帳と申告に対応できるか
  • 登録によって増える事務負担を理解しているか

免税事業者が経過措置によりインボイス発行事業者の登録を受けた場合、原則として、登録日以後2年を経過する日の属する課税期間まで課税事業者となります。

登録を取り消しただけで、すぐ免税事業者へ戻れるとは限りません。国税庁

筆者としては、初めての取引先から聞かれたという理由だけで、仕組みを理解しないまま登録を急ぐ必要はないと考えています。

取引を失う可能性だけでなく、消費税の申告、価格設定、帳簿管理まで含めて比較し、分からない場合は税務署や税理士へ相談する方が現実的です。


考察|2026年の手続きで本当に先に整えるべきもの

ここからは、公式情報を確認したうえでの私見です。

2026年の変更点として目立つのは、開業届の提出期限が、従来の1か月以内から、開業年分の確定申告期限までに変わったことです。

時間に余裕が生まれたのは、これから副業を始める人にとって助かる変更だと思います。

ただ、実際の副業運営で困りやすいのは、開業届の紙を出し忘れることだけではありません。

「どの案件の入金か分からない」「請求額と振込額が違う」「経費の領収書が見つからない」「青色申告の期限だけ過ぎていた」といった、日々の小さな抜けが積み重なることです。

そのため、私は開業届より先に、次の3つを整える方が効果的だと考えています。

  • 契約条件を保存する場所
  • 売上と経費を記録する管理表
  • 税務手続きの期限を入れるカレンダー

開業届は、期限内なら後から提出できます。

一方、口頭で聞いた契約条件や、用途を忘れたレシートは、時間がたつほど復元が難しくなります。

「20万円」と「開業届」を結びつけない

初心者向けの記事では、「20万円を超えたら開業届」と説明されることがあります。

しかし、20万円基準は、一定の給与所得者が所得税の確定申告を必要とするかを判断する基準です。

開業届は、個人が事業を開始したときの届出です。

目的が違うため、所得が20万円以下でも事業として活動していれば開業届を確認する必要があります。反対に、20万円を超えたからといって、所得が自動的に事業所得になるわけでもありません。

ここを一本の線でつなげると、手続きが余計に分かりにくくなります。

私は次のように分けて考えることをおすすめします。

判断したいこと 主に確認するもの
会社へ副業を届けるか 就業規則、副業規程
業務委託として受注できるか 契約内容、働き方の実態
開業届を出すか 事業を開始した実態
青色申告を使えるか 所得区分、申請期限、記帳方法
確定申告が必要か 年間所得、給与の状況、他の控除
インボイス登録をするか 取引条件、売上見込み、消費税負担

副業の手続きを難しく感じるのは、制度が多いからだけではありません。

別々の目的を持つ制度を、「副業を始めたら全部必要」という一つの箱に入れてしまうからです。

箱を分けるだけで、今すぐ必要なものと、売上や働き方が変わってから確認するものを整理できます。

最初に作るべきは「1枚の副業台帳」

私なら、初めて案件を受ける日に、次の情報を1枚へまとめます。

  • 勤務先への届出状況
  • 取引先名
  • 契約書の保存場所
  • 業務内容
  • 報酬
  • 納期
  • 請求日
  • 支払予定日
  • 源泉徴収の有無
  • 入金確認
  • 関連する経費
  • 青色申告の申請期限
  • 開業届と確定申告の期限

副業の記録は、確定申告だけのために作るものではありません。

報酬の未払いに気づく、利益の少ない案件を見直す、作業量に見合う価格を考えるといった、仕事そのものの判断材料にもなります。

開業届は、事業を始めたことを税務署へ伝える書類です。

けれど、自分にとっての本当のスタートは、最初の取引を説明できるように記録した日ではないかと、私は感じています。


まとめ

2026年に会社員が業務委託副業を始める場合は、まず勤務先の就業規則を確認し、作業を始める前に業務内容、報酬、納期、修正範囲、支払日を書面へ残します。

2026年1月1日以後の開業では、開業届の期限は、開業した年分の所得税の確定申告期限までに変更されました。

ただし、青色申告承認申請書は、1月16日以後に開業した場合、原則として開業日から2か月以内です。2026年版の手続きで先に注意すべきなのは、開業届より青色申告の期限といえます。

確定申告の20万円基準は売上ではなく所得で判断します。

必要経費は、収入を得るために必要だった部分だけを、説明できる根拠とともに記録しましょう。20万円以下で所得税の確定申告を省略できる場合も、住民税申告の要否は自治体へ確認が必要です。

副業開始時に、すべての制度を暗記する必要はありません。

契約を残す、数字を記録する、期限をカレンダーへ入れる。この3つを先に習慣にすると、売上や働き方が変わったときにも、次の手続きを判断しやすくなります。


よくある質問

業務委託副業は開業届を出す前に始められますか?

仕事を受注し、業務を始めること自体は可能です。

2026年1月1日以後に個人事業を始めた場合、開業届の期限は開業した年分の所得税の確定申告期限までです。ただし、青色申告を希望する人は、先に青色申告承認申請書の期限を確認してください。e-Tax+1

副業の売上が20万円以下なら確定申告は不要ですか?

20万円基準は、売上ではなく、売上から必要経費を引いた所得で判定します。

また、20万円以下でも、別の理由で所得税の確定申告をする場合は副業所得を含めます。所得税の申告をしない場合も、住民税申告が必要になることがあるため、居住自治体へ確認してください。国税庁+1

開業届を出せば青色申告ができますか?

開業届だけでは青色申告になりません。

青色申告承認申請書を期限内に提出し、対象となる所得や記帳などの条件を満たす必要があります。副業所得が雑所得に区分される場合、青色申告特別控除は利用できません。国税庁+1

会社員の業務委託副業でも源泉徴収されますか?

仕事内容によっては源泉徴収されます。

原稿料や一定のデザイン料などは対象になる場合があり、100万円以下の部分は原則10.21%です。すべての業務委託報酬が同じ扱いではないため、発注者の支払明細と国税庁の対象報酬を確認してください。国税庁+1

インボイス登録をしていないと業務委託を受けられませんか?

一律に受注できなくなる制度ではありません。

ただし、取引先の方針によって契約条件へ影響する場合があります。登録後は消費税の申告・納税が必要になるため、報酬条件、売上見込み、事務負担を比較して判断してください。国税庁+1

確認した主な一次情報(2026年7月24日)

  • 国税庁「新たに事業を始めたときの届出など」
  • 国税庁「開業する場合」
  • 国税庁「所得税の青色申告承認申請手続」
  • 国税庁「給与所得者で確定申告が必要な人」
  • 国税庁「必要経費の知識」
  • 国税庁「記帳や帳簿等保存・青色申告」
  • 国税庁「原稿料や講演料等を支払ったとき」
  • 厚生労働省「副業・兼業」
  • 公正取引委員会「フリーランス法特設サイト」「フリーランス法Q&A」

監修・確認体制:本記事は税理士、社会保険労務士、弁護士による個別監修を受けていません。執筆者が国税庁、厚生労働省、公正取引委員会および自治体の公式情報を確認し、一般的な情報として整理しています。個別の所得区分、税額、契約、勤務先の規程については、税務署、自治体、勤務先の担当部署または資格を持つ専門家へご相談ください。

執筆:青木 ひより(未経験から始めたブログ副業ナビゲーター)

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